暴走編
内容タグ:汚染環境、水害、性行為
珍しくシアトルに大雨が続いていた。
何日も降りやまず、街の排水システムは各所で悲鳴を上げている。
ニュースでは郊外の道路や地下鉄の浸水被害が繰り返し報道されている。
街角のカフェのモニターも同じ映像を流し続けている。
とはいえ、街全体が沈んだわけではない。
歩道橋の上を人々は傘を差して行き交い、ネオンは普段どおり輝いている。
だが低地や古い建物では排水が追いつかず、場所によっては階ごと水没したまま放置されていた。
そんな最中、ひとつの任務が遂行されようとしていた。
日没までまだ時間はある。
しかし立入禁止のバリケードの内側は、別の世界のように沈んでいた。
黄色いテープは半分ちぎれ、風に揺れながら濁った水面に影を落としている。
通りを行き交う人々は、不自然に大きな荷物を抱えて移動する二人を一瞬だけ見て、すぐに目をそらした。
誰も声をかけない。
看板に書かれた「危険・水没」の文字ごと、傘の端で避けて通り過ぎていく。
監視カメラは死んでいる。
停電と浸水で、この区画は都市の地図から切り落とされたも同然だった。
区画の一角に、そのビルは沈んでいた。
外観はまだ形を保っていたが、電子錠を破壊して踏み込んだ中は浸水し、地下階は完全に水没している。
デュオは端末を取り出し、フロアの見取り図と今回の依頼内容を表示させた。
「……住民被害の調査データ。企業が隠したやつだとよ」
もとよりこのデータの回収は計画していた。
だが、この大雨がそれを阻んだ。
水が引くのを待つこともできたかもしれない。
だが、期日までにこのデータを届ける──そこまでが依頼の内容だ。
ただ、運が悪かった。それだけのことだった。
二人はウェットスーツに身を包み、義体用のフロータージャケットに袖を通した。
通常の人間用のジャケットでは浮力が足りない。金属の骨格を沈めずに支えるには、倍近い容量が必要だ。
タンクのバルブをひねると、膨張する音が冷たい空気を吐き出す。
背負うタンクが重くのしかかる。
マスクをかぶり、レギュレーターを咥える。
階段の入り口に足を踏み入れた瞬間、濁った水面が波紋を広げた。
壊れたLED灯が水に揺れ、漂う紙片が白い影のように舞っている。
「じゃ、行くか」
デュオが軽く肩をすくめ、身を沈める。
階段を一段ずつ降りるたび、水が肩から首へとのしかかってくる。
やがて頭上まで覆われ、世界は一瞬で静寂に沈んだ。
ライトの光が濁った水を切り裂き、崩れた手すりや散乱する書類の残骸が、浮遊する幽霊のように揺れている。
階段室はまるで竪穴のように深く、一階から水流が絶え間なく流れ込み、渦を作っていた。
視界は悪い。
見失わないようにロープで互いを繋ぎ、慎重に下降を続ける。
ワンフロア分潜った先、踊り場の天井付近にはまだ空気が残っていた。
割れたガラスが水面に突き出し、白濁した泡を溜めては弾けている。
デュオが顔を出そうとした瞬間、ヒイロの腕が制した。
彼は水面すれすれで息を試し、眉をひそめる。
〈……硫黄臭がする。酸素も薄い。長居はできない〉
デュオはわずかに目を細めた。
〈マジかよ。避難所に使えりゃ便利だったのにな〉
ヒイロは答えず、すぐにレギュレーターを咥え直す。
二人はそのままさらに下の踊り場へと潜っていった。
水流は強く、手すりに掴まらなければ容易に流される。
義体の重量は浮力で打ち消されていたが、少しでもバランスを崩せば、鋼鉄の塊は瓦礫に叩きつけられるだろう。
地下二階。
通路は完全に沈んでいた。
ライトを振ると、横手に排水設備の扉が見えた。
金属パネルは水圧で歪んでいるが、接合部には明らかな切断跡が残っている。
デュオが近づき、指先で配管をなぞった。
〈……やっぱりな〉
切り口は不自然に滑らかで、工具で削った痕が残っていた。
ヒイロは短く視線を落とし、無線に返す。
〈妨害か〉
〈だろうな。たぶん避難前にやってったんだろ〉
デュオは肩をすくめ、吐き出した泡が天井に散った。
そして何事もなかったように先へ進んだ。
濁った水に満たされた通路を進む。
水圧に押し潰されたドアがことごとく歪み、壁はところどころ崩れて内側の壁材がむき出しになっている。
光を当てると、廊下の先にはサーバールームの扉が見えた。
かつては警備用の認証装置が取り付けられていたはずだが、今は壊れてコードの切れ端が漂っているだけだ。
〈ここだ〉
ヒイロが短く告げ、工具を取り出す。
水圧に押し潰された扉をこじ開けると、内部は一面の闇と静寂だった。
壁に並んだラックの大半は沈黙し、ただ泡のきらめきだけが棚の隙間を漂う。
その奥、大量の漂流物に半ば埋もれながらも、まだ形を保った一角があった。
防水シェルに覆われたストレージだ。
光を当てると、内部でわずかにランプが点滅しているのが見えた。非常電源で生きている。
筐体に貼られているIDを頼りに、目的のストレージを探し出す。
デュオがレギュレーターの前面を指で軽く弾く。
短く空気が吹き出し、細い泡が二度、鋭く昇った。
彼なりの「口笛」だ。
〈おー、水没してんのに生き残ってやがる。やるじゃん〉
ヒイロは応じず、自分の防水端末を取り出してストレージに押し付ける。
微かな電子音が水を震わせ、緑のインジケータが息を吹き返した。
極短距離無線で接続が確立し、データ転送が始まる。
運がいい。
ラックを解体してストレージを引き出して回収する作業はしなくて済む。
暗闇の底にちらちらと光が瞬き、二人の影を照らして揺らした。
端末の表示する転送バーはなかなか進まない。
ふと、ヒイロの視線が隣に漂うデュオに向く。
水中での無重力感に揺れる身体。
レギュレーター越しに吐き出される泡が、デュオの口元から静かに昇る。
それはヒイロの胸を妙にざわつかせた。
白い泡が唇を覆い、吐息と一緒に弾ける。
揺らぐ光に照らされたその顔が、なぜか異様に艶めいて見える。
一度見てしまうと、そこから視線が離れなかった。
胸が痛いほどに脈打ち、喉が焼けつくように乾く。
──あの吐息に触れたい。
理性も任務も関係なく、その思いだけが鋭く突き上げてくる。
気が付いた時には、手を伸ばしていた。
デュオが振り返った瞬間、ヒイロはためらわなかった。
伸ばした手でレギュレーターを掴み、そのまま強引に引き抜く。
自分もレギュレーターを噛み外す。
わずかな汚水が舌に触れる。
鉄の味と油の苦さ──普段なら吐き出すはずの味が、妙に熱を伴って胸を突き上げた。
ごぼり、と口に水が入り込んできて、デュオが大きく目を見開く。
電脳は声帯ではなく思考を拾って合成音声に変換する。言葉を封じても、声だけは回線に漏れる。
〈っ、おま……! 俺じゃなかったら、それ殺そうとしてんのと〉
最後までは言えなかった。
ヒイロの唇がそのまま重なったからだ。
水の冷たさの中で、口内だけが異様に熱い。
奪うように舌が入り込み、酸素と吐息がごちゃ混ぜに溶け合う。
泡が二人の頬を滑り、天井へと昇っていく。
デュオは背を壁に打ちつけながら腕を振り上げて抗議したが、ヒイロは離そうとしない。
仕方なく、ヒイロの襟首を掴み返す。
〈ヒイロ、バカ! やめろ、マジで死ぬ! おまえが!〉
無線に混じる声は必死の制止。
強引に重ねられた口から泡が零れ、抗議の声は飲み込まれる。
自分はすぐに溺れはしない。体内にはある程度の酸素を貯め込めるリザーバーが埋め込まれていて、静かにしていれば半時間程度は持つ。
だがヒイロは違う。肺は生身で、ここには頭上に水面がない。
一方、ヒイロはまた止まれなくなった自分に戸惑いを覚えていた。
(何故だ)
キュービクルに沈むデュオを見た時と同じだ。
──止まれ。止まるべきだ。
命令のはずなのに、身体は従わない。
機械なら制御できるはずなのに。
自分でも正体のわからない衝動にかられ、指先に力を込め、デュオの腰を引き寄せることしかできない。
ウェットスーツ越しに体温が伝わり、部屋にふたりの影が揺らめく。
デュオは「またかよ」と奥歯の裏で毒づいた。
嫌いじゃない。
むしろ──分かってる。
だけど今じゃないだろう?
敵、酸素、時間。
〈……っくそ、ほんとに……俺じゃなかったら……なんで今なんだよ……〉
声は途切れ、呻きに変わる。
指先がヒイロの肩に食い込み、抗う力と求める力が同時に起こる。
壁に背中を押しつけられ、吐く息が壁に沿って昇る。
ヒイロの衝動はますます深く、容赦がない。
それでもデュオの腕は離れず、強く彼を抱き返していた。
抵抗の姿勢のまま、結局は落ちていく抱き方で。
〈なあ、そろそろ返せよ〉
デュオがレギュレーターを奪い返そうともがく。
ヒイロはそれを自分の口に咥え、深く吸い込み──、外してデュオに顔を寄せた。素の唇が重なり、肺に溜めた空気が無理やり吹き込まれる。
(違う。今じゃない──)
喉まで出かかった「続きはベッドでしようぜ」を、デュオは噛み殺した。
ここでこいつの手を振りほどけば、たぶん仕事は平穏無事に終わる。
──だが、この衝動を野放しにしていいはずがない。
誰かが止めなきゃ、こいつはこうやって簡単に人を殺す。
その「誰か」が、他でもない自分だとわかってしまっている。
関係は、どうだ。
もうまともには戻れねえ。
舌が押し込まれ、口腔を荒々しく蹂躙してくる。
喉の奥を抉られ、息が奪われるたび、泡が二人の間に弾けて消える。
その直後にレギュレーターを押し戻され、デュオはぜえぜえと荒い呼吸を取り戻した。
〈ふざけんな! 俺の肺破裂させたいのかよ、パーツ幾らしたと思ってんだ!?〉
無線の抗議は途切れ途切れ──怒りと、助かったという安堵と、まだ終われない熱が混じっている。
その間にもデュオの唇から、細かい泡が絶え間なく昇っていく。
ヒイロはそのひとつを指先で捕まえ、掌で包み込んだ。
水圧に押されてすぐに弾けるはずの泡は、きらきら光りながら揺れ、彼の指の間から逃げていく。
泡が可愛い。
──言葉にしないまま、そう認識してしまう。
命が削れて漏れる、そのさまが。
デュオが眉をひそめる。
〈……遊んでんじゃねえ、バカ〉
声は抗議のはずなのに、無線越しにかすかに震えていた。
ヒイロは次に、吐き出された大きな泡を掬い取り、デュオの頬へと押しつけた。
弾けると同時に、無数の小さな気泡が頬を撫でる。
デュオが一瞬息を詰め、目を細めた。
〈ほんっと……性格悪ぃな、おまえ……〉
その罵りすら熱を帯びている。
〈……やめろ、くすぐって……っ、今は──〉
苛立ちと笑いと、理性のかけら。
だがヒイロは止めなかった。むしろ吐き出される泡を両手で囲い込み、逃げ場を塞ぐように顔へ押し当てた。
(まずい。分かってる。なのに──)
デュオは心の中で舌打ちし、同時に腕に力を込める。離さないことでしか、いまは互いを保てない。
だが──本当にまずい。このままじゃ仕事どころじゃない。
身をよじり、ヒイロを押し返そうとした。
「やめろ」のつもりだった。だがその曖昧さは、かえって火に油を注ぐ。
ヒイロの視線が鋭くなる。
遊び半分の色が消え、代わりに抑えきれない衝動が露わになった。
デュオを壁に押しつけたまま、フロータージャケットのバルブに手を伸ばした。
小さな排気音が鳴り、水泡がいくつも背後に昇る。
浮力が一気に失われた。
身体が重く沈み込み、二人を床へと引きずり下ろす。
〈……っ、おい、何やって──〉
デュオの抗議は途中で途切れた。
崩れた床には漂流物が積み重なり、平らな場所などどこにもなかった。
デュオの背中のタンクがその隙間にはまり込み、浮力で逃げようとしてもびくともしない。
漂流物や破片の角が肩や腰に食い込み、冷たさと痛みが水を通して伝わってくる。
そこへずしりとヒイロの重さがのしかかる。
サイボーグの身体は水の抵抗をものともしない。
胸から腰までを押しつけられ、瓦礫とタンクに挟まれたデュオの身体は完全に沈められた。
〈ヒイロ……っ、バカ、ほんとに沈める気かよ……!〉
無線の声は罵りながらも、熱を帯びていた。
ヒイロは答えず、腰を押しつける。
泡が立ち昇り、瓦礫に反射して白く弾ける。
デュオは必死に身をよじった。
だが水中での抵抗は力が抜けたように拡散し、ヒイロの身体はびくともしない。
重力と重量がすべて水を突き抜け、容赦なくのしかかっていた。
〈……ぐ、っ……おまえ……本気か……〉
無線越しの声は罵りながらも、どこか震えていた。
息を吐くたびに泡が頬を撫で、天井へ昇っていく。
ヒイロはその泡を掌で押さえ込み、逃げるように弾ける気配を目で追った。
そして視線を戻すと、両手首を床に縫い止めるように掴んだ。
〈……おまえのせいだ〉
ヒイロは泡を吐きながら言葉を漏らす。出力された音声は微かに乱れていた。
虚を突かれて、デュオは一瞬瞠目した。
〈えぇ、俺!?〉
いきなり自分のせいにされても訳がわからない。
〈命令しても止まらない。欲望なのか、衝動なのかわからない〉
胸を締め付ける痛みと熱に戸惑いが滲む。
〈おまえのせいだ。俺が、……機械でいられなくなるのは〉
水の中にいると、皮膚が薄くなるような感覚がある。
機械の殻が剥がれて、遠く、人間だった頃に戻されるような。
デュオの口角がかすかに動いた。
〈……バカだな、前からそうだろ。気づいてなかったのはおまえだけだ〉
押し返していた手がわずかに力を失った。
ヒイロはその感触を見逃さない。
〈……そうか。俺だけが──〉
視線を逸らさぬまま、腰を深く押し当てた。
泡が爆ぜ、二人の間に広がる衝動を映し出すように水中を駆け上がっていった。
ヒイロの腰に押しつけられたデュオのスーツ越しの隆起は、張り裂けそうなほど膨らんでいた。
だがヒイロも同じだった。冷たい水をものともしない熱が、互いの前面でぶつかり合い、擦れ合うたびに欲を煽る。
水圧と厚手の生地に押し込まれながらも、硬さは隠しようがない。
呻きながらデュオが手を伸ばし、ヒイロの腰骨を掴む。
そのまま下へ滑り、スーツ越しに熱を確かめる。
〈……くそ……こんな窮屈で……どうすんだよ……〉
悪態に混じる諦めと昂ぶり。
ヒイロも応えるように、手袋越しにデュオの下腹を擦った。
厚い素材が互いの手を阻むのに、同じ熱が伝わり、摩擦のじれったさは対等に共有される。
逃げ場を失った熱が生地の内側で膨れ上がっていく。
もどかしさが、逆に欲望を鋭くする。
無意識に、ヒイロの指先がデュオのスーツの縫い目をなぞる。
前合わせのファスナーを探すように滑って──結局見つからず、ただ厚い生地に阻まれる。
〈無理に決まってんだろ……〉
デュオが吐き捨てる。呆れと熱が同居した声。
止めるはずの手は、結局どちらも離さない。
共犯の証のように、同じ衝動を抱え込む。
再びヒイロは強引にデュオの顎を掴み、レギュレーターへと手を伸ばした。
デュオは一瞬、また抗おうとした──けれど喉まで上がった声を飲み込む。
抗えば酸素も体力も削られる。ここで暴れるより、乗った方がまだ生き延びられる。
それに──この壊れ方を、他の誰も知らない。
こいつが機械でいられない瞬間を目にするのは、自分だけだ。
それが特権のように思えた。
〈……ったく、しょうがねえな。おもしれーじゃねえか〉
泡混じりの笑いが声に滲む。
自らレギュレーターを吐き出し、唇を迎えに行った。
泡が弾け、酸素と衝動が一気に溶け合う。
刹那、圧迫と熱が限界を超えた。
スーツの中で奔流が弾け、互いの内側を濡らす。
白い気泡が一斉に昇り、廃墟の天井へと消えていった。
唇を貪るように噛み合った。
舌と舌が絡み、肉を食むように吸い合う。
痛みと快楽が入り混じり、唇の端から泡と唾液が混じって零れる。
〈……ん、は……っ〉
もう芝居の響きは残っていない。
喘ぎと呻きが重なり、ヒイロの耳を焼きつくす。
溺れてでも欲しい──その衝動のまま、二人は互いを貪り合った。
やがて泡が散り、静けさが戻る。
瓦礫に背を預けたデュオは、まだ身体を震わせていた。
スーツの内側には灼けるような熱と湿り気が残り、冷たい水と交じって異様な温度差をつくる。
ヒイロが重さをどけても、タンクは瓦礫に噛み込み抜け出せない。
拘束の感触がなおも続き、デュオの胸にぞわりとした余韻を残した。
〈……っ、ヒイロ……俺ら……バカすぎ……〉
呆れと喘ぎが混じった声が無線に滲む。
だがそれは拒絶ではなく、二人だけの秘密を認める響きだった。
荒い呼吸のまま、ヒイロはフロータージャケットのバルブを捻った。
タンクから空気が流れ込み、身体がゆるやかに浮力を取り戻す。
押さえ込まれていたデュオもふわりと浮き、長く編んだ髪が水に漂った。
それでもスーツの中の違和感は消えない。
一歩動くごとに、内部で乱れた痕跡が擦れ、体温を裏切るように煽ってくる。
〈……早く引き上げようぜ。こんな格好のまま長居したくねえ〉
デュオが顔を背け、無線で吐き捨てた。
荒い息のまま笑いも漏れる。
〈……普通のバディだったら今ので契約破棄だからな。俺でよかったな?〉
ヒイロは答えず、端末を確認した。
転送表示はすでに100%を示し、冷たい電子音が水中に震えていた。
データコピーは完了している。あとは戻るだけだった。
指先で掬った泡をまた掌に閉じ込め、弾ける光を見つめる。
その様子に、デュオが小さく舌打ちをする。
〈ほんっと性格悪ぃな……〉
吐き捨てる声は怒りよりも諦めに近い。
ロープで繋がれた二人は、同じ浮力に引かれてゆっくりと昇っていく。
水底に残された痕跡と熱は、誰にも知られないまま秘密として沈んでいた。
暴走編:終